日本看護技術学会誌
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研究報告
高齢者皮膚に対する合成擬似セラミド含有弱酸性皮膚洗浄剤の影響について
岡田 忍永野 みどり西尾 淳子鈴木 明子
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2008 年 7 巻 1 号 p. 68-77

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抄録

高齢者の皮膚に対する合成擬似セラミド含有弱酸性皮膚洗浄剤ソフティの影響について検討した. 研究参加に同意の得られた介護老人保健施設入所者16名, 軽費老人ホーム入所者5名に3週間入浴時の洗浄にソフティを使用してもらい, 使用前後の前腕内側の皮膚水分量, 表皮pH, 下腿前面の角層中のセラミド量, 前腕内側および下腿前面の細菌数, 皮膚所見を比較した. その結果, 皮膚水分量, 表皮pH, 細菌数, 皮膚所見の改善が認められ, ほぼ毎日入浴している軽費入所者のほうが, 入浴回数が週2回である老健入所者よりも変化が大きかったことから, ソフティによる効果と推測された. ソフティがこのような皮膚の状態の改善をもたらした機序としては, 皮膚の弱酸性pHの維持による皮膚のバリア ・ 保湿機能の改善や細菌の過剰な増殖の抑制, ソフティの皮膚に対する低刺激性が推測された. しかし皮膚状態の改善に反し, 角層セラミド量は全体として減少傾向にあり, 今後はセラミドのターンオーバーや構成などについてさらに検討する必要があると考えられた.

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© 2008 日本看護技術学会
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