NEUROSURGICAL EMERGENCY
Online ISSN : 2434-0561
Print ISSN : 1342-6214
神経内視鏡手術による早期減圧により救命できた脳内出血発症小児もやもや病の一例
大藏 裕子重森 裕福田 健治野中 将岩朝 光利井上 亨石倉 宏恭
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2018 年 23 巻 1 号 p. 54-58

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抄録

 出血発症の小児もやもや病は頻度が少なく,予後が不良である.今回,出血発症の小児もやもや病に対して,血腫除去ならびに頭蓋内圧減圧を目的に,緊急神経内視鏡手術を実施し,救命し得た一例を経験したので報告する.症例は13歳女性.突然の頭痛と全身性痙攣を主訴に救急搬送となった.当センター搬入時の意識レベルはGlasgow Coma Scale (GCS) 6 (E1V1M4),瞳孔不同と痙攣重積を認めた.頭部単純CTで右前頭葉に脳出血を認め,正中偏位を呈していたため,同日緊急で内視鏡下血腫除去術を施行した.術後,十分な血腫除去が得られ,瞳孔不同の改善も認めた.術後に施行した脳血管造影検査にて両側内頚動脈閉塞およびもやもや血管が認められ,出血発症の小児もやもや病と診断した.2週間の集中治療を行い,第38病日に右側,第58病日に左側の間接バイパス術を施行した.患児はManual Muscle Test 2/5の左片麻痺が残存したが,意識レベルはGCS11 (E4VTM6) まで改善を認め,リハビリテーション目的に転院となった.発症1年後はmodified ranking scale 3まで改善した.小児もやもや病に合併した脳出血に対する神経内視鏡下血腫除去術は,開頭術と比較して低侵襲で迅速に実施可能であることから有用である可能性がある.

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© 2018 日本脳神経外科救急学会
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