2019 年 24 巻 2 号 p. 144-149
一側内頚動脈閉塞患者において,脳血流検査は重要であり,single photon emission computed tomography(SPECT)検査や脳血管撮影検査が施行されてきたが,近年アセタゾラミド負荷の副作用への注意喚起が強まりつつある.今回,一側内頚動脈閉塞患者でSPECT施行された患者において,脳血管撮影検査でのcollateral pathwayについて検討するとともに,安静時脳血流定量により健側と患側の血流量を検討した.SPECT検査を施行された一側内頚動脈閉塞症例28名(平均年齢:69.1歳)を対象とした.脳血管撮影検査において,collateral pathwayを検討した.SPECT検査において,三次元自動関心領域解析で脳を52領域に分類し,健側と患側の群間比較を行った.脳血管撮影検査24例で,Anterior communicating artery(Acom A)経由が71%,Posterior communicating artery(Pcom A)経由が79%,External carotid artery(ECA)経由が42%,leptomeningeal anastomosis(LMA)経由が38%であった.SPECT検査28例では,患測の血流低下領域は,p<0.1付近で皮質分水嶺部に限局した領域に認め,特に角回が最も傾向を示した.一側内頚動脈閉塞患者では,Pcom A経由の側副血行を最も多く認め,逆にECA経由,LMA経由は多く認めなかった.また,安静時脳血流量は皮質分水嶺,特に角回で左右差が現れやすい傾向があることが示唆された.