日本栄養・食糧学会誌
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マウスにおけるグァーガム分解物の長期摂取による食後血清脂質上昇抑制作用への影響
近藤 しずき清水(肖) 金忠宮地 一裕岩附 慧二海老原 清
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2007 年 60 巻 2 号 p. 105-110

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抄録

我々はグァーガム分解物 (partially hydrolyzed guar gum, PHGG) 単回摂取による食後血清中性脂肪上昇抑制作用ならびにその作用機序が腸管内における脂質乳化の破壊によることを報告しているが, 本研究ではPHGGを長期摂取したときにその作用に変化があるかを動物実験およびin vitro 実験で検証した。マウスに5%PHGGを含むまたは含まない市販粉末飼料を12週間摂取させ, 摂取前後に脂肪負荷試験を行った。脂肪負荷試験は, マウスを16時間絶食後に25%PHGG溶液 (3.3mL/kg BW) または水を投与後, ただちにオリーブ油 (6.6mL/kg BW) を投与することによって行った。投与前および投与2, 4, 6時間後に尾静脈より採血し, 中性脂肪を測定した。その結果, PHGGを長期摂取した後でも血清脂質上昇抑制作用は確認された。また, 乳化破壊に及ぼす影響をin vitro で検討した。胆汁酸を0.1, 0.5, 1.0%に変更して調製したオリーブ油乳化液とPHGG溶液 (1, 2, 3, 5%) を混合して振とうし, さらに振とう速度を80, 160回/分とし, PHGGによる乳化安定性に対する影響を検討した。PHGGによる乳化破壊作用は胆汁酸濃度および振とう速度に影響されなかった。これらの結果より, PHGGによる食後脂質上昇抑制作用は長期間摂取後でも減弱せず, PHGGを長期摂取しても腸管内の胆汁酸濃度が高くなったり, 蠕動運動が活発になったとしても影響を受けないことが示唆された。

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© 2007 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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