日本栄養・食糧学会誌
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妊娠・授乳期ラットの脂肪摂取量の差異が仔ラットの脂肪摂取嗜好に及ぼす影響
中嶋 洋子
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2007 年 60 巻 5 号 p. 241-247

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抄録

妊娠・授乳期の脂肪摂取量の差異が, 仔ラットの脂肪摂取嗜好に及ぼす影響を調べた。妊娠・授乳期の母親ラットを低脂肪食飼料 (LFD), 標準食飼料 (CTD) およびラードを添加した高脂肪食飼料 (HFD) で飼育し, 離乳後仔ラットにはLFDとHFDを選択摂取させ両飼料の摂取割合を5週目まで調べた。いずれの群の母親と仔ラットとも, 実験期間を通して等カロリーになるように飼料を摂取しており, 各群間の体重に有意な差はみられなかった。離乳1週目の仔ラットのHFD摂取割合は85-90%であり, 3群間に有意な差はみられなかった。2週目以降も, LFD群の仔ラットは85% (脂肪エネルギー比率, F比 : 38%) 前後, HFD群の仔ラットは90-95% (F比 : 39-40%) の高率でHFDを摂取し続けたが, CTD群の仔ラットでは60-65% (F比 : 31%) に低下した。CTD群の母親と5週齢の仔ラットの血漿トリグリセリド濃度は他の2群に比べて有意に低かった。したがって母親が不適正なPFC比率で飼料を摂取したならば, その仔ラットは離乳後適正な脂肪エネルギー比率になるようLFDとHFDを選択摂取する能力を失うと考えられた。

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© 2007 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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