日本栄養・食糧学会誌
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研究ノート
妊娠・授乳期の母ラットの食餌油脂が離乳後の仔ラットの油脂摂取嗜好性に及ぼす影響
中嶋 洋子佐藤 明恵
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2010 年 63 巻 5 号 p. 247-252

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抄録

妊娠・授乳期の魚油食 (FD) またはラード食 (LD) の摂取が, 離乳後に, 仔ラットの両油脂の嗜好性に及ぼす影響を調べた。妊娠ラットを2群にわけ, それぞれ, FDとLDで妊娠・授乳期間飼育した。離乳後, 両群の仔ラットにはFDとLDを同時に与え, 両飼料の選択摂取を27日間行わせた。両群の仔ラットともに, 選択摂取開始直後の両飼料摂取量には有意な差はみられなかったが, 3–6日目にかけてFD摂取割合 [FD摂取量 (g) /総摂取量 (g) ] は低下した。7日目以降のFD摂取割合は, FD群の仔ラットの雄が38%, 雌が32%であり, LD群の仔ラットの雄が16%, 雌が17%であり, FD群がLD群に比べて高かった。これらの結果から, 離乳後の仔ラットの油脂に対する嗜好性は, 離乳する前に母親と一緒に摂取した摂取経験のある油脂の影響を受けると推測された。両群の母親と仔ラットの後腹壁脂肪組織重量, 血漿脂質とホルモン濃度などを比較し, 仔ラットの油脂の嗜好性に関与する要因について考察した。

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© 2010 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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