日本栄養・食糧学会誌
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ワサビイソチオシアネートがCaco-2細胞の抗酸化酵素の発現誘導に与える影響
草野 由理向 章宏柴田 貴広内田 浩二
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2013 年 66 巻 6 号 p. 293-300

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抄録

6- (methylsulfinyl) hexyl isothiocyanate (6-HITC) は沢ワサビの主要なITCで, ラット肝細胞における解毒酵素の発現誘導活性をもつ成分として同定してきた。一方, ヒト腸管の解毒酵素の発現には, 腸管上皮細胞の細胞分化の制御機構が関与することを示してきた。本研究は, ヒト腸管上皮細胞モデルであるCaco-2細胞の細胞増殖期と分化期における解毒・抗酸化酵素の発現機構に, 6-HITCが与える影響を検討した。6-HITCは増殖期にあるCaco-2細胞のプロテアソームの活性低下を, また両時期のCaco-2細胞のheme oxygenase-1 (HO-1) 発現を誘導した。このHO-1発現はプロテアソーム阻害剤を増殖期のCaco-2細胞に投与した場合に観察されたことから, 6-HITCによるHO-1発現は細胞増殖期と分化期とでは異なる経路によることが明らかになった。

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© 2013 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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