日本栄養・食糧学会誌
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総説
ビタミンB6の抗腫瘍作用およびホモシステインの神経傷害の作用機序,食品摂取頻度と血漿ホモシステイン濃度に関する研究
(平成26年度日本栄養・食糧学会奨励賞受賞)
叶内 宏明
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2015 年 68 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

ビタミンB6 (B6) の抗腫瘍作用が報告されており, その作用機序を検討した。乳癌細胞株MCF-7を用いてB6がp53タンパク質を介して細胞増殖を抑制することを明らかにした。また, B6の中でピリドキサール (PL) が最も強い作用を持つこと, PLは他のB6に比べて細胞膜親和性が高いことを見いだした。B6を必要とする代謝の1つにホモシステイン (Hcy) 代謝がある。疫学調査の結果から, 高Hcy血症と認知症の関連が示唆されている。神経芽細胞腫SH-SY5Yと星状膠細胞U-251MGを用い, Hcyの神経細胞傷害にU-251MGから放出される未知な細胞死誘導因子が関係することを見いだした。鹿児島県あまみ地域住民における血漿Hcy濃度と食品摂取状況の横断的疫学研究から, 血漿Hcyを下げる因子として男性および閉経後の女性では豆類の高頻度摂取, さらに女性では卵の高頻度摂取が関係することを見いだした。

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© 2015 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
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