飽和脂肪酸の摂取は糖尿病の発症リスクを増大させ, 不飽和脂肪酸摂取はそのリスクを低減させることが海外の研究において示唆されているが, 日本人を対象にした研究は限られている。本研究では健常な日本人女性を対象に, 摂取する脂質と血中糖尿病マーカー値との関連について検討を行った。富山県在住の女性122名を対象に食事調査を実施した。空腹時に採血を行い, 血清グルコース濃度, インスリン濃度, ヘモグロビンA1c値を測定した。総脂質摂取量と各血液分析値との間に, 有意な相関は認められなかった。飽和脂肪酸および多価不飽和脂肪酸摂取量と各血液分析値との間にも, 有意な相関は認められなかった。一価不飽和脂肪酸摂取量とヘモグロビンA1c値との間に, 有意な負の相関が認められた。以上の結果より, 日本人女性において一価不飽和脂肪酸の摂取は, より低いヘモグロビンA1c値と関連する可能性のあることが示唆された。