2026 年 79 巻 1 号 p. 35-40
食物アレルギーは小児での有病率が高く, その患者数は年々増加している。食物アレルギーの感作や発症及び免疫寛容の全容は未だ明らかではない。近年, 家庭内曝露と感作の関連や安全な範囲での摂取指導の有効性が数多く報告されており, 食物アレルギー発症予防や治療方針が転換期を迎えている。著者は, 急増する木の実類アレルギーと環境曝露の関係や治療法の1つである経口免疫療法 (Oral immunotherapy: OIT) のヒト臨床研究, 動物モデルを用いたOITメカニズムの検討, 食物アレルギー治療に伴う負担感測定尺度の開発, 抗アレルギー食品素材の探索など多方面から研究を実践している。中でもOITに関する研究では, 治療効果における制御性T細胞の重要性や重症鶏卵アレルギー児に対する少量導入OITの有効性, 治療経過を推定する血清指標などを明らかにした。本稿では, トランスレーショナルな研究戦略とその実践をOITに関する成果を一例にして紹介する。