栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
農家食品のカルシウムに関する研究
(第8報) 味噌熟成による添加Ca45 CO3の変化について
檀原 宏
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1958 年 10 巻 6 号 p. 277-280

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抄録

1. Ca強化味噌について, 添加したCa塩が熟成中に如何なる変化をするか, Ca45CO3によりこれを追跡した。
2. Ca45CO3を添加した麹を食研式で作つて, 味噌を仕込み, その直後及び熟成後について, 夫々蒸溜水, 10%醋酸及びN/10塩酸でそれぞれ抽出した。各抽出液より, Ca45を調べると, 水溶性Ca45 20%が熟成後36%に醋酸可溶性Ca45は73%が66%に変化していた。塩酸可溶性及び不溶性のそれは微々たるもので, その変化には意味づけできない。
3. 水溶性の溶出部分から, コハク酸126.7mg, 乳酸192.4mgを得た。又同じ抽出部分から無機Pを定量して, 熟成味噌中から87.7mgを得た。結局水溶性Caは, イオン化している状態のもの, 及び蛋白質, ベクチンなどのコロイド状高分子化合物に, 吸着しているものが多いことが想像される。
4. 醋酸抽出部分から, CO2を測定すると, 362.3mgを得た。これより添加したCa45CO3は, 半分以上が未反応のまま残つていることが知られる。
5. 塩酸抽出部分中より蓚酸が検出されたが, まだ定量には至つていない。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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