栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
東北一農村の栄養改善実施とその効果
鷹觜 テル
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1961 年 13 巻 5 号 p. 338-343

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抄録

岩手県水田地帯の農村に食生活の改善を行なった。このため保全素を供給することの多い作物の栽培, 畜産, カルシウムみそ, にんじん, ほうれん草の共同購入, やぎ乳チーズ, 大豆強化パンの奨励を行なった。
この改善実施5年後に幼児ならびに小学校学童の身長は5年前の相当年令より増し, 中枢神経系血管損傷, 肺炎, 心臓病, 悪性新生物および腸炎による死亡が激減した。これに対し食生活の改善を行なわなかった隣接村ではこの5年間に中枢神経系血管損傷, 悪性新生物, 肝硬変による死亡が著しく増した。著者は改善村のこれらの効果を栄養摂取の改善の結果と考えたい。
本研究にあたり, つねに御助言御指導を賜った岩手大学農学部小柳達男教授, ならびに調査指導に御協力いただいた花巻保健所栄養士加藤美奈子嬢, および協力された村の方々に心から謝意を表する。なお改善を行なった谷内村倉沢婦人会は昭和34年全国食生活改善協議会コンクールに第1位を得たことを付記する。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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