栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
変敗油の調理に及ぼす影響について (第11報)
BHA抗酸化剤の防カビ性及び防虫性について
梶本 五郎笠村 貴美子遠藤 義臣
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 14 巻 5 号 p. 378-383

詳細
抄録

1. 0.5%のHQ, BHA, BHT, NDGA, IG PGの六抗酸化剤のアルコール溶液に, 1cm2の木綿布を1時間浸漬処理したものについて, 青カビに対する防カビ性を調べた結果, NDGA, BHAが防カビ性を有し, BHT, HQ, IG, PGなどは防カビ性を示さなかった。
2. 0.5%, 0.05%のBHA溶液にソーセージ, 鯨肉, カマボコなどを1時間浸漬処理し, 防カビ性を調べたが, いずれも防カビ性を示した。
3. ソーセージ, カマボコに0.01%にたろようBHA粉末を添加し, 混和後防カビ性を調べ, いずれも0.01%で十分防カビ性を示すことを知った。
4. 鯨肉を乳鉢にてすりつぶしたものにHQ, BHA, BHT, NDGA, IG, PG, などの六酸化防止剤の粉末を0.1%, 0.01%添加し, よく混和後室内に放置し, ハエの幼虫の発生状態を比較したが, 無添加鯨肉とPG添加鯨肉は, 放置後7日目で幼虫の発生を見, 8日目でIG, 9旧目でHQ, 10日目でNDGA, 11日目でBHT, 12日目でBHA添加鯨肉にハエの幼虫の発生をみたしたがって最も防ハエ性のあるものはBHAで, 次いでBHT, NDGA, HQ, IGの順である。
5. 02%BHA溶液に30分間浸漬処理したソーセージ, 鯨肉を末処理物と共に並べ, その中心上5cmの位潰にハエの幼虫を20匹並べ, 嫌避性を調べたその結果BHA処理ソーセージ, 鯨肉を嫌避し, 未処理物の方に進んだ。
6. 0.2%BHA溶液に30分間浸演処理しソーセージ, 鯨肉, カマボコおよび未処理物を油虫と共に容器中にいれ, 摂取性をみた。未処理ソーセージでは10%摂取され, BHA処理ソーセージでは1%とわずかに摂取きれ, 鯨肉, カマボコはいずれも摂取しなかった。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top