栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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変敗油の毒性について (第4報)
変敗油および加熱重合油にPyridoxineおよびNiacine添加効果について
梶本 五郎
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1962 年 15 巻 3 号 p. 216-220

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抄録

120日ネズミ及び白ネズミについて, 基本飼料に10%になるよう空気酸化油, および加熱重合油の異なる油を混ぜ, 飼育日数と体重の増加および毛並の状態を調べた結果, 空気酸化油 (I)(PO. V 1098) での飼育ネズミの体重は, 10日過ぎから急激に減少し, PO. V 404の空気酸化油では30日すぎから体重が減少し, PO. V 206の空気酸化油では減少しなかった。
加熱重合油では, 170℃ で130時間加熱した油は, 早くから体重の減少があり, 70時間加熱油では, 30日すぎから体重が減少し, 20時間程度の加熱油では体重の減少なく, 対照油と同傾向にあった。
2空気酸化油 (PO. V 404) および加熱重合油 (70時間加熱) に, PyridoxineおよびNiacineを20日ネズミ (体重20~22g) 1匹につき, それぞれ100γ/day, 白ネズミ (体重100~120g) 1匹につき500γ/dayずつ輔充し, 体重の変化を調べると, PyridoxineおよびNiacineを補充したネズミでは, 30日を過ぎても体重の減少なく, むしろ増加し, 且つ毛並も汚れなかった。
3変敗度の高い油 (PO. V 1098) の場合には, Pyridoxineを補充しても効果なく, 逆に変敗度の低い油脂では, 補充しても, しなくても差がなく, ある程度の変敗油においてPyridoxineの効力を発揮するものと考えられる。
4変敗油 (PO. V 404) に対するPyridoxineの最小必要量は決め難いが, およその傾向として, 20日ネズミでは50γ/dayで若干の効果があり, 100γ 以上では, その効果は大である。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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