栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
変敗油の調理に及ぼす影響 (第14報)
揚げ鯨肉中の無機質の変化および揚げ油の着色について
梶本 五郎
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1962 年 15 巻 3 号 p. 221-225

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抄録

1未変敗油大豆油と変敗大豆油で, 鯨肉を170℃で4分間揚げ, 脱脂後, 灰分を求めると, 生鯨肉の灰分に比べ, 未変敗油で揚げた鯨肉の灰分は17.5%, 変敗油で揚げた鯨肉の灰分は28.9%それぞれ減少した。
2各灰分中の無機質の変化割合は, Pが著しく減少し, Caは差なく, Feはむしろ増加した。その傾向は変敗油鯨肉ほど大であった。
3衣をつけた揚げ鯨肉の灰分も, 生鯨肉に比べ減少しているが, 空揚げよりは少なかった。
4油の変敗度が高くなるにしたがい, 揚げ鯨肉の灰分は減少した。
51日1回, 鯨肉を揚げ, 揚げの回数と揚げ鯨肉の灰分量をみると, 揚げの初期は殆んど灰分は減少せず, 8日目ごろから灰分の減少がめだった。
6鯨肉を揚げた油中には, 窒素量, Fe量がしだいに増し, その窒素化合物として, たん白質, ピロール環呈色物を検出した。これら窒素化合物およびFeが, 揚げ油の着色を著しく促進させた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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