栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
変敗油の調理に及ぼす影響 (第26報)
油脂の酸敗に及ぼす食品成分と油脂の変敗度との関係
梶本 五郎
著者情報
ジャーナル フリー

1964 年 17 巻 3 号 p. 174-177

詳細
抄録
1. 変敗度の異なる大豆油に, カゼイン, 水の等量混合物を40%になるよう混合し, 25℃に放置して, 放置日数と過酸化物価, 酸価を求めた。その結果, 過酸化物価はほとんど増加せず, 酸価は未変敗混合油のみいちじるしく増加し, これに対し, 変敗油の混合油では増加しなかった。
2. 未変敗大豆油にBPO, LPO, をそれぞれ0.1%お第3図 酸化防止剤, 添加混合油の過酸化物価および酸価よび1%ずつ添加し, 同様カゼイン, 水の混合物と放置すれば, 過酸化物価は20日ごろまで増加するが, それ以後増加せず, ただし, BPO 1%添加混合油のみは増加した。酸価はBPO, LPO添加混合油ともに低く, またLPOに比べBPOの方がより低い。しかし, 変敗油の混合物に比べれば高い。
3. 大豆油に酸化防止剤, BHA, BHT, PG, NDGA等を添加し, その添加油およびカゼイン, 水の混合油について調べた。
酸化防止剤添加油そのものでは, 20日すぎから過酸化物価が増加し, 酸価もわずかに増加する。しかし, 添加混合油になると過酸化物価は10日すぎから減少し, 逆に酸価は急激に増加し, 酸化防止剤の無添加混合油に比べBHA添加混合油のみが低く, NDGAは同程度で, 他はいずれも高かった。
著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top