1965 年 18 巻 4 号 p. 258-262
1. すぐり, マルメロともにペクチン含量多く酸度も高い。
2. ペクチンのカルボキシル基のエステル化の度合は, ゲル形成速度を左右するといわれているが, すぐりペクチンは60.6%, マルメロペクチンは82.0%, S. ペクチンは78.8%, R. ペクチンは80.5%, L.M. ペクチンは68.7%であった。エステル化度とゲル形成速度の関係については今後検討したい。また, メトキシル基の含量は, マルメロペクチンは6.6%, すぐりペクチンは5.0%でやや低く, R. ペクチンは5.8%, S. ペクチンは4.8%で, これらはいずれも高メトキシルペクチンと考えられる。低メトキシルペクチンとして市販されているL.M. ペクチンは, 3.5%を示した。
3. ペクチンのゲル形成にあたって, S. ペクチン (1%) 糖 (65%) を一定にして, 酸濃度を変化させたものについては, 酸濃度0.1%以下ではゼリーを形成せず, 0.2%で最高に達し, 0.4%以上ではゼリー強度が弱められる。
各種濃度別ペクチンゼリーの性質については, Okada gelometerおよびCurdmeterによって測定した結果, マルメロペクチンは, S. ペクチンに似て, ゼリー強度も大であり, 硬く, 歯切れもよく, 伸長度の大きいゼリーを形成することがわかった。すぐりペクチンは, ゼリー強度もやや弱く, 軟わらかく, 歯切れもわるく, R. ペクチンと, L.M. ペクチンの中間的な性質をもったゼリーを形成することの結果を得た。