栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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スグキ漬に関する研究 (第4報)
工業的規模による乳酸菌添加漬込み実験
福原 貞介藤原 邦達向井 英治高田 進山口 三郎
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1966 年 19 巻 3 号 p. 180-185

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抄録

われわれはこれまで3回にわたって報告したスグキ漬の研究を総括する意味で, 上加茂において乳酸菌添加熟成の実験を工業的規模により実施した。漬上り試作品につき細菌学的, 化学的測定を行なう一方, 現地生産関係の熟練者, 消費者代表による官能審査を実施し, その実験結果を要約すればつぎのとおりである。
1. 乳酸菌添加分は無添加対照にくらべ官能試験の成績は良好である。
2. 乳酸菌添加分は概して産膜性が少なかった。
3. 乳酸菌添加の影響が測定値に認められたのは酵毋数, 乳酸であって, その他の項目, 乳酸菌数, 揮発酸, 糖分にはその影響が認められなかった。
4. 今回の実地試験において添加分と無添加対照の間に前回の小規模実験とことなり明瞭な測定差の出なかった理由を考察した。
5. 本実験の場合添加菌種はL. m. >T. 14>N. 11の順に有効であった。この順序はこれまでに行なった実験室規模の試験結果とよく一致する。
6. スグキ漬の製造初期に存在する大腸菌群は熟成完了によって自然に消滅する。
乳酸菌添加法は添加菌の種類, 量など今後の検討を必要とする点はまだ少なくない。しかしながら本報に終わるわれわれの調査研究によってスグキ漬の熟成工程, 主要成分の変化はほぼ明瞭となった。また熟成に関与する乳酸菌の分離と, その発酵機作にもとづく乳酸菌の人工的添加によって, スグキ漬の製造にはじめて科学的な品質管理の手がかりが与えられたといえよう。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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