栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
還元型ascorbateと共存する亜硝酸塩のポーラログラフによる定量法について
永田 致治安藤 則秀
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1966 年 19 巻 4 号 p. 282-285

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抄録

従来肉製品中の亜硝酸塩を定量するために用いられている比色定量法は, その反応域が強酸性側にあるため, 還元性物質が共存すると亜硝酸塩の正しい定量値の得られないことが明らかとなった。これは反応域が酸性側にあるときには, 共存する還元性物質により亜硝酸塩が分解されるためである。したがって還元型ascorbateなどの還元性物質が共存する場合に亜硝酸塩を正確に定量するためには, 反応液のpHを中性付近に保つことが必要である。
そこで今回, ポーラログラフを用い, 還元型ascorbateが共存する場合の亜硝酸塩定量法について検討を行なったところ, ベロナール緩衝液でpH6.0~7.0に調整したクロム (III) -グリシン錯塩と過塩素酸ナトリウムを含む支持電解液を使用すると, 亜硝酸ナトリウム20ppm以内で濃度と波高との間に直線関係があり, かつ共存する還元型ascorbateによる阻害作用も認められないので, この新しく考案したポーラログラフ法により, 還元型ascorbateが共存しても, 亜硝酸塩の量を正確に定量できることが明らかとなった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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