栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
クロロフィルおよびクロロフィル誘導体によるL-アスコルビン酸の光増感分解に関する研究
守 康則上田 マリ子三宅 璋子三輪 和子
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1970 年 23 巻 6 号 p. 379-385

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抄録

クロロフィルa, フェオフィチンおよびクロロフィル金属誘導体によるL-アスコルビン酸の光増感分解さらにケイ光消光剤としてのフェリシアン化カリウム, p-キノンおよびβ-カロチン共存下におけるクロロフィル-アスロルビン酸系の光分解反応をしらべ次の結果を得た。
1. クロロフィルaおよびフェオフィチンはL-アスコルビン酸の光分解をいちじるしく促進する。
2. 銅クロロフィリンナトリウムおよび鉄クロロフィリンナトリウムはL-アスコルビン酸の光分解を促進し, とくに前老によるL-アスコルビン酸の光分解がいちじるしい。また銅クロロフィリンナトリウムはL-アスコルビン酸をいちじるしく接触酸化する。
3. クロロフィルーアスコルビン酸系の光分解反応に対し, フエリシアン化カリウム, p-キノン, およびβ-カロチンは抑制作用を示す。
4. クロロフィルa, フヱオフィチンのメタノール溶液は比較的強いケイ光強度を示し, 銅クロロフィリンナトリウムおよび鉄クロロフィリンナトリウム水溶液のケイ光強度は比較的小さい。さらにクロロフィルaのケイ光強度はフェリシアン化カリウム, およびp-キノンにより消光をうける。
5. 反応系のケイ光強度とL-アスコルビン酸光分解との間には相関関係をもつ。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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