抄録
リノール酸およびラードに対して, 各種アミノ酸の抗酸化性ならびにα-トコフェロールに対する各種アミノ酸の相乗性について検討した。
1) アミノ酸の抗酸化性はリノール酸とラードでは差異が認められた。前者に対してはヒスチジン, スレオニン, メチオニン, ヒドロキシプロリン, トリプトファンおよびアルギニンに, 後者に対してはトリプトファン, メチオニン, フェニールアラニンおよびロイシンに比較的強い抗酸化性が認められた。
2) α-トコフェロールに対する各種アミノ酸の相乗効果は用いたすべてのアミノ酸に認められた。リノール酸では, 抗酸化性の強いアミノ酸, すなわちヒスチジン, スレオニン, メチオニン, トリプトファンおよびアルギニンは相乗効果も強いという結果が, またラードでは, そのような傾向は認められず, メチオニン, プロリンおよびロイシンに強い相乗効果が認められた。
3) ラードに対しアミノ酸の添加量を3×10-3Mに増加しても, リノール酸での場合ほど相乗効果をもたらさなかった。これはラードに対するアミノ酸の溶解度が非常に小さいためと考えられる。