1973 年 26 巻 2 号 p. 97-101
蜂蜜に果実を浸漬すると, 水分の増加によって, 蜂蜜の粘稠性が低下し, それに伴ってアルコールの生成が認められる傾向にあってその濃度は2~4%に達し, また, 同時に炭酸ガスの発生もみられた。このような蜂蜜の水分と糖, 酸度, 粘度およびアルコール生成と炭酸ガスの発生の関係について実験を行ない次の結果を得た。
1) 蜂蜜に梅, 夏ミカン, ブドウ, サクランボを浸漬すると, 蜂蜜中の水分と糖の平衡が浸漬開始後2週間で認められた。しかし, ニンニク, ビワの浸漬ではおそく, 粘度の低下も緩慢であった。
2) アルコール生成は浸漬開始後約10日目よりみられた。ニンニク浸漬時には検出されなかった。
3) 炭酸ガス生成はアルコールの生成とほぼ同傾向をとったが, ビワ, ニンニク浸漬時には生成がみられなかった。
4) ブドウおよびビワをホモジネートとして蜂蜜と混合すると, アルコール生成および炭酸ガス発生が3日目より観察された。
5) アルコール生成は果実ホモジネートを加熱処理してもしなくても大差はなかったが, 炭酸ガス発生は熱処理で著しく低かった。