栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
人工肉の栄養価におよぼすアミノ酸補足の影響 (第1報)
リジン, メチオニン添加の影響について
坂本 清福沢 初代
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1973 年 26 巻 3 号 p. 177-183

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抄録

白ネズミを用い, 市販繊維状人工肉の8%たん白含有飼料に第1制限アミノ酸メチオニンを, また第2制限アミノ酸リジンを数段階にわたり添加する実験を行なった結果, 次の結果を得た。
1) 人工肉に0.142%メチオニンを添加することにより良好な成長を見た。
2) リジンを0.192%, 0.288%添加することにより, 体重増加量, 飼料摂取量, P. E. R. , N. P. R. に低下が見られ, このそれぞれにメチオニンを0.162%添加すると著しい改善が見られた。
3) 人工肉に0.192%のリジンを添加すると, 給餌開始後2時間で人工肉にくらべて摂食量低下がおこり, 24時間でさらに著しくなった。 またメチオニンを0.162%添加すると, 同じく2時間後に摂食量が増し, 24時間にいたることを知った。
4) 人工肉, 0.192%リジン添加人工肉, 0.192%リジン・0.162%メチオニン添加人工肉の3飼料を並列して選択摂取状態を見たところ, 正常白ネズミでは集中的にリジン・メチオニン添加飼料を選択摂取し, 一方, たん白欠乏白ネズミで全く異なった不規則な摂取を行なっ
5) リジン0.096%, 0.288%添加人工肉飼料群Whiteheadの血しょうアミノ酸比の上昇の傾向が見られ, メチオニン添加で明らかな降下を示した。
6) 血しょう遊離アミノ酸濃度については0.192%, 0.288%各リジン添加飼料群で人工肉飼料群にくらべて第1制限アミノ酸メチオニン濃度が低下し, リジン濃度が上昇することを知った。
7) 0.096%, 0.192%, 0.288%リジン添加飼料群で肝脂肪蓄積量が増加し, 検鏡により肝小葉に多くの脂肪球を認めた。
8) 以上の結果から被験人工肉8%含有飼料に約0.1%以上のリジンを添加すると成長阻害, 肝脂増量その他の好ましくない影響が生ずることを知った。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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