栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
易動物性たん白に関する研究
小石 秀夫飯田 敏行芦田 輝子奥田 豊子吉村 寿入
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1974 年 27 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

成年男子学生4名に, 吸収窒素量にして0g, 3.6g, 5.2g, 7.6gおよび9.5g/dayの各種たん白レベルで約1週間食餌を与え, 同時に毎日10mgのriboflavinを与えて窒素とriboflavinの出納を検討した。さらに各食期で窒素出納が平衡を維持したとき, 約20gの全卵たん白質を与え, 前後3日間ずつの窒素出納とriboflavin出納の変化より, 体内の窒素量の変化とriboflavinとの関係を検討した。
その結果,
1. 吸収窒素量が多いほど体内に保留されるriboflavin量は多くなる。
2. 過剰にたん白質を投与すると, riboflavinの排泄量は減少し, 体内保留量は増加する。投与されたたん白質の一部はriboflavinとともにおそらくはflavoproteinとして体内に蓄積する。過剰に投与されたたん白の窒素1g当りのriboflavin体内保留量は, 無たん白食期を除き食餌性吸収窒素量と負の相関関係がある。
riboflavinの体内保留量とそれにともなうたん白質の蓄積量との間には正の相関関係があるが, 食餌性吸収窒素量が0g, 3.6gおよび5g/day以上の群は異なった相関関係を示す。
3. 以上の成績より, flavoproteinが体内の易動性たん白質の重要な部分を占めることを推論し, かつ, これがたん白摂取量変動にともなってたん白代謝を調整する緩衡の作用を示す機能的な貯蔵たん白の役割を果たすと考えた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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