栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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酢酸フェニール水銀投与による水銀の泌乳モルモットにおける体内分布と排泄およびその乳仔への移行
宮本 進
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1974 年 27 巻 3 号 p. 109-115

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抄録

PMAにより汚染された食品を通じて水銀 (Hg) が母体にはいり, さらにその乳汁を通じての乳仔へのHgの移行をしらべる目的で, 以下の実験を行なった。
PMA (203Hg) を合成し, これを用い, 泌乳中のモルモット (体重700~800g) 6頭に1回経口投与, 5頭にくり返し経口投与 (5回) をした。 PMA (203Hg) (1回につき500μg) をカプセルで投与し, 糞, 尿を経時的に採取, 投与終了後1週間経過後殺し臓器, 血液を採取した。 乳汁は原則として仔モルモットにのませたが, その一部を直接搾乳により得て測定に供した。 仔モルモットは親と同時に殺し臓器, 血液を採取した。 これらの試料中の203Hgをウェル型シンチレーションカウンターで測定した。
1) 乳汁へのHgの移行 (母体)
投与期間中は, 少しずつふえるか, あるいは横ばい傾向をたどり, 投与終了後2日目からゆるやかに指数関数的に減少した。 実験期間中の総移行量は, 0.40±0.09% of dose (1回投与), 0.40±0.27% of dose (5回投与) で微量ではあるが, 実験期間中継続して移行した。
2) 乳汁より乳仔へのHgの移行
仔モルモットが吸乳した乳汁中のHgを100%とすると仔体内へのHg移行率は, 4.85±1.96% (1回投与), 5.07±2.78% (5回投与) で微量ではあるが移行することが明らかになった。
3) 糞, 尿へのHgの排泄 (母体)
糞へは, 59.7±2.8% of dose (1回投与), 61.7±4.3% of dose (5回投与), 尿へは13.2±1.7% of dose (1回投与), 16.4±3.4% of dose (5回投与) 排泄された。 排泄傾向は, いずれも指数関数的であるが, 糞ではかなり急で, 尿ではゆるやかで乳汁における傾向と類似していた。
4) 臓器などにおけるHgの残留 (母体)
全体的には, 18.6±3.1% of dose (1回投与), 11.4±3.2% of dose (5回投与) の残留がみられた。 量も濃度も腎臓がきわめて高く, ついで肝臓その他の順であった。 血液中には, 0.24±0.04% of dose (1回投与), 0.13±0.03% of dose (5回投与) のHgが存在した。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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