1974 年 27 巻 5 号 p. 221-224
脂肪酸残基の鎖長や飽和度の異なる, 種々の親水性のショ糖脂肪酸エステルとデンプンとの相互作用について検討し, 次の結果を得た。
1) デンプン溶液に添加したショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基の鎖長が長く, 飽和度が高くなるにつれてデンプン溶液の粘度上昇開始温度は高く, また, 最高粘度は低下し, 低温化によるゲル組織の形成は促進された。
2) ショ糖脂肪酸エステルの添加によりデンプンゲルのゲル硬化度および膨潤度の経日変化は少なくなり, この傾向はその脂肪酸残基の鎖長が長くなればなるほど顕著であった。
3) デンプンとショ糖脂肪酸エステルの相互作用はその親水性に依存するのではなく, むしろ化学構造と関連していることを見いだした。