抄録
1) 新鮮果実より分離調製したペクチン質の収量は, 柑きつ類では0.80~3.21%で, その他の果実類では0.45~1.50%であった。これらのペクチン質の成分を分析定量した結果, 無水ガラクチュロン酸含量は50%前後のものが多いが, バナナペクチン質の含量は低く, 果肉26.2%, 果皮36.9%で夏みかんしぼり粕ペクチン質は最も高く, 74.7%であった。
重量法によるメトキシル基の定量値は, 2.80~9, 09%であるが, 無水ガラクチュロン酸ベースに換算すると, りんごしぼり粕ペクチン質を除き, 9.21~13.84%となり, 高メトキシルペクチンといえる。
市販ペクチンについて, 未処理および精製したものについて成分を分析定量した結果, 精製したものの無水ガラクチュロン酸およびメトキシル基含量がやや高くなっている。
2) 液体クロマトグラフィーによる中性糖の分別定量の結果, 果実ペクチン質に含まれる中性糖の量は異なるが, 種類はほぼ一定していることが認められた。
総体的に, アラビノース, ガラクトースの含量が高く, つづいてラムノース, キシロースがほとんどのペクチン質に含まれ, グルコースは, 極端に多いものと少ないものがある。
含量の高いアラビノースとガラクトースの比には一定の傾向は見られず, 中性糖の総含量にも一定の傾向はなく, また無水ガラクチュロン酸と中性糖の含量にも相関はなさそうである。