栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
食に関連するタブーと俗信
黒田 学
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1976 年 29 巻 4 号 p. 205-212

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抄録

本研究は, 宮城県内において食に関連するタブーと俗信が依然として存在するという前提に立ち, 栄養士を情報収集源として横断的調査を実施したものである。
1) 宮城県内に居住する栄養士435名に対し, 昭和50年4月にアンケート調査を実施した (回報: 23.7%)。
2) 提供された160件の情報のうち, 食べてはいけない食品については145件, 90.6%であり, そのうちタブーと判断されるものは113件, 77.9%を占めていた。
3) 食べてはいけない食品に関する情報を分析したところ, 現在も行なわれているものが73.4%を占めていること, および, 都鄙の別なく県内いたるところに存在していることが判明した。
4) 獣肉を食べてはいけないとする情報は40件にのぼり, そのうち, 25件は現在も行なわれているものであった。この情報を新旧別等に分析してみると, タブーを社会内部に保持する力は, 時代の進展とともに減弱する傾向にあることがうかがわれた。
5) 栄養士からの情報提供状況を分析したところ, タブーや俗信に関する有用な情報の回報という点では, 地域活動に従事する栄養士がもっとも重要であった。
たえずご指導を賜わった東北大学医学部公衆衛生学教室鈴木継美教授に深く感謝申しあげる。また, 調査にご協力をいただいた日本栄養士会宮城県支部野口丑松支部長はじめ会員の栄養士各位に厚くお礼申しあげる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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