栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
しいたけ摂取の白ネズミの血漿および肝臓脂質成分に対する影響
木本 万里吉沢 節子越智 尚子鶴木 富紀子大村 京生道喜 美代
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1976 年 29 巻 5 号 p. 275-281

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抄録

白ネズミを5%しいたけの有無, 0.5%コレステロール+0.2%コール酸ソーダの有無の4条件下で, 30%ショ糖を含む飼料で12週間, ショ糖を含まない飼料で6週間それぞれ飼育して次の結果を得た。
1) しいたけおよびコレステロールの摂取は, ネズミの成長およびみかけの健康に影響をおよぼさない。
2) しいたけ食はコレステロール並食の有無にかかわらず, 血漿総コレステロール, 遊離コレステロールおよびリン脂質を減少させる。この効果は, しいたけ摂取の期間が長いほど大きい。
3) しいたけ食が肝臓脂質 (主として総脂質およびトリグリセリド) を増大させるのは, コレステロールを並食した場合に限る。ショ糖, コレステロールおよびしいたけを並食して6週間で肝総脂質は30%にもなるが, 12週間後には約20%に減少した。
4) 肝臓の左葉とその他の葉との間に, 脂質含量に相違があることが観察された。コレステロール食や, そのしいたけ並食による肝臓コレステロールおよびトリグリセリドの集積はまず左葉で起こり, ついでその他の葉に波及してゆくと考えられた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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