栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
女子大学生の身体の諸形質と栄養摂取
鈴木 継美山口 蒼生子鈴木 久乃
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1978 年 31 巻 5 号 p. 475-480

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抄録

某女子大学栄養専攻課程の新入生42名の30日間にわたる食事記録, 身体諸形質 (身長, 体重, 体脂肪率, lean body mass, 上腕囲, 血色素量, 1年後の体重) の測定結果を用い, 栄養摂取の個人間変動について検討した。
1) 栄養素摂取量の個人間変動は30日分の平均値でみると, たん白質でもっとも小さく (変動係数8%) ビタミンAとCでもっとも大きかった (変動係数約12%) が, 栄養素摂取量相互間の相関係数はすべて正の有意の値を示した。主成分分析を行なうとしたがって第1成分の寄与率が高く (72.5%), いわゆる「大きさの因子」がどの栄養素摂取にも一様にみられた。
2) 身体諸形質の個人間変動は体重でもっとも大きく (変動係数14%) ついでlean body mass (変動係数13.4%) で, もっとも小さいのは体脂肪率 (1.7%) ついで身長 (3.9%) であった。主成分分析では第1成分として, いわゆる「大きさの因子」 (寄与率52.8%) がとり出され, その負荷のもっとも大きいものが体重であった。
3) 身体諸形質のいずれによっても, 栄養摂取の個人間変動は説明されなかった。
4) 単位体重あたり栄養素摂取量をみると, 血色素量をのぞくすべての栄養素で, 身体形質とくに体重との間に有意の負の相関がみられた。
以上の結果から, 「身体の大きさ」によって栄養摂取が影響されていること, そのさい大きなものほど相対的に少量の摂取となることが示された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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