栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
発育期ラット大腿骨の破断特性および灰分量に及ぼす低カルシウム食の影響
江澤 郁子岡田 玲子野崎 幸久尾形 悦郎
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1979 年 32 巻 5 号 p. 329-335

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抄録

本研究は, 近年問題とされている栄養と骨折についての基礎的検討を行なったものである。離乳直後のウイスター系雄ラットを用い, I, II, III群に分け, おのおの5日, 15日, 33日間コントロール食 (カルシウム0.47%, リン0.3%) で飼育し, その後各群を2分し, 一方に低カルシウム食 (カルシウム0.003%, リン0.3%) を30日間与え, 他方には引き続きコントロール食を与え比較検討し, 次のような結果を得た。
1) 低カルシウム食ラットの体重増加は, 試験食期間最終の10日間で, I, II群において有意に抑制された (p<0.01)。
2) 血清カルシウム濃度は1群の低カルシウム食においてのみ有意に低下した (p<0.01)。
3) X線像における骨密度の減少は, 低カルシウム食投与の全群のラットにおいて認められた。とくにI群においてその差は顕著であった。
4) 大腿骨の灰分量/乾燥重量, カルシウム含量/乾燥重量およびリン含量/乾燥重量は, I, II群の低カルシウム食で有意に減少した (p<0.01)。
5) 大腿骨の破断応力, 破断変形, 破断エネルギーおよびヤング率から, 明らかに低カルシウム食による骨の折れやすさが認められ, とくにI群において顕著であった (p<0.01)。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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