1981 年 34 巻 4 号 p. 309-313
PCAおよびGlu, Glnさらにクエン酸を単独に添加したモデル缶詰ならびにトマトジュースモデル缶詰を試製し, 37℃で60日間貯蔵した場合のGlu, GlnからのPCへの転換ならびにスズ溶出量との関連性について検討した。
1) モデル缶詰ならびにトマトジュースモデル缶詰中のPCA量の増加はGlnからの転換によるのが多く, その転換は加熱の影響によると推察された。
2) スズの溶出量はGlu缶詰, Gln缶詰はPCA缶詰に比べ少なく, とくにGln缶詰はスズの溶出がほとんどみられなかった。さらにトマトジュースモデル缶詰ではGlu添加およびGln添加によりスズの溶出が抑制される傾向を示した。
3) PCA添加によるスズの出量はモデル缶詰, トマトジュースモデル缶詰のいずれにおいてもクエン酸添加の場合と同程度であった。
本研究の大要は昭和55年8月, 北海道で行なわれた栄養・食糧学会で報告した。