栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
解凍方法が凍結魚肉の品質に及ぼす影響
吉岡 慶子
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1981 年 34 巻 4 号 p. 315-323

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抄録

-5℃ 28日間および-20℃ 3日間凍結貯蔵した2種のコイ肉に関して, 空気解凍およびマイクロ波解凍法が, その品質に及ぼす影響について実験を行ない, 適切な解凍条件を検討した。その品質判定規準としては, 化学的にはK値を, 物性値については, 力学的な測定値として破断応力および見かけの弾性率, ならびtexture特性としてtexturometerによる測定値を用いた。またFig. 10. Effect of defrosting temperature on profile of texturometer curve of carp muscles stored at -5℃ for 28 days or at -20℃ for 3 days. 解凍コイ肉の組織学的観察も行なった。
まず, コイ肉を即殺時から1週間5℃に冷蔵し, 化学的および物理的測定値の変化を調べた。その結果, K値が品質をよく表わし, その他の物性値も時間の経過とともに低下して, ほとんどの測定値が有意の相関を示すことがわかったので, 物性値による品質判定限界値を定めた。
-5℃ 28日間凍結貯蔵したコイ肉の解凍条件は, K値で判断すると, 5℃解凍が最もよいことを示していた。しかし, 物性値は品質判定限界値以下であった。
-20℃ 3日間凍結貯蔵したコイ肉では, K値は5℃解凍で最もよい値を示した。50℃解凍およびマイクロ波解凍で物性値が高い値を示したのは, 魚肉組織が熱収縮したことによるものと推定した。このことは, 魚肉組織の顕微鏡観察からも裏づけられた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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