栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ビタミンC欠乏および過剰モルモットにおける補体系の変動
坂本 元子小林 幸子石井 荘子加藤 かおる島薗 順雄
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1981 年 34 巻 4 号 p. 325-334

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抄録

1) 実験的につくられたVc欠乏およびVc過剰3群のモルモットについて, それらの栄養状態を血液学的所見, 血清の生化学的所見で, Vc欠乏状態を臨床症状, 血清中のVc量で確認した。
2) Vc欠乏および過剰状態における免疫系について, 細胞性免疫系の指標としてツ反応を, 液性免疫系の指標として補体溶血活性をとり, 免疫監視機構における相互の関係を検討した。さらにVc欠乏, 過剰時における補体各成分についても検討を加えた。
3) Vc欠乏状態では, ツ反応は完全に消失するにもかかわらず, 補体系は正常範囲を維持し, 細胞性免疫能の低下に対し, 補体系は免疫能を維持し, これを補償していることが推測された。
4) Vc過剰投与の場合, C3はわずかな過剰量でも有意に高い値を示し, 生体の抵抗性に関与するVcの作用のうち, 補体系に影響を及ぼすところはC3の部分にあることが推測された。
5) Vc過剰投与の抵抗性の増強に関することは, 補体溶血活性値に影響する量は大量投与にのみその影響が観察された。
6) Vc過剰投モルモットにS. aureusを感染させた場合, 抗体産生に先立つ補体の応答がみられたが, そのろちC3はこの時期に右意に高い値を示しており, 宿主の外部侵略に対する補体系のなかで, C3が最も早く防御態勢を整える役割を果たしていることが推察された。本実験の一部はビタミンC研究協議会の研究費により実施されました。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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