栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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ラット血清脂質およびたん白質量に及ぼす酸化リノール酸の長期投与による影響
豊崎 俊幸梶本 五郎
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1981 年 34 巻 5 号 p. 423-428

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抄録

酸化度の異なるLAを, ラットに, 0.01ml/100g体重/日の割で, 6か月間投与し, 血清中の脂質およびたん白質量の変動について, 臨床栄養学的な面から検討し, 以下の結果を得た。
1) 血清中の総コレステロールおよびリン脂質量は428栄養と食糧No. 3酸化リノール酸 (OLA) 投与群およびNo. 4OLA投与群でいずれも有意な増加 (p<0.01) を認めた。 血清中の総脂質量には, いずれのOLA投与群も顕著な変動は認められなかった。
2) 血清中の総たん白質量はNo. 3 OLA投与群およびNo. 4 OLA投与群でいずれも有意な増加 (p<0.01) を認めた。 アルブミンの割合はいずれのOLA投与群も軽度な増減が認められたが有意なものではなかった。 グロプリンの割合は酸化度の高いOLA投与群ほど減少傾向を示し, No. 3 OLA投与群 (p<0.05) およびNo. 4 OLA投与群 (p<0.01) と0いずれも有意な減少を認めた。 アルプミン/グロプリン (A/G) の比率は酸化度の高いOLA投与群ほど増加傾向を示し, No. 4 OLA投与群で有意な増加 (p<0.05) を認めた。 また, No. 4OLA投与群でアルプミンより低分子側に未知たん白質を認め, その割合は, 血清たん白質量の16.5%であった。
3) 血清中のグルタミン酸-オキザロ酢酸トランスアミナーゼおよびグルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ活性は酸化度の高いOLA投与群ほど増加し, 逆に, アルカリフォスファターゼ活性は低下した。
4) 血清中のマロンジアルデヒド量は酸化度の高いOLA投与群ほど増加し, 逆に, 総トコフェロール量は減少した。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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