栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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大豆の成熟過程における種子の脂質, 脂肪酸, トコフェロールおよびステロール量ならびに組成の変化について
梶本 五郎芝原 章山庄司 志朗
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1982 年 35 巻 5 号 p. 345-350

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抄録

大豆の成熟度と種子の大きさ, 脂質量, 脂質中のToc, 脂肪酸およびステロール組成の変化を調べ, あわせ, 成熟過程にある各大豆種子の栄養価を脂質の面から考察した。
1) 種子の大きさ, 重量は成熟に伴い増加し, 開花後, 50日目を最高に以後減少した。
2) 種子の成熟に伴い脂質量は漸次増加するが, 75日目の完熟種子の脂質量が16.7%に比べ, 通常, 枝豆として食している25~50日目の期間内では, 2.0~5.0%の脂質量であった。 総脂質中の不ケン化物の占める割合は未熟種子ほど高く, 25日目で1.0%, 75日目では0.5%であった。
3) 種子の成熟度と総脂質およびTG中の脂肪酸組成の変化は, 成熟に伴い16: 0の割合が減少し, 逆に18: 2の割合が増加し, 75日目で57.0%が18: 2で占められていた。 したがって, 完熟種子脂質は18: 2の割合が多く, 未熟種子脂質, いわゆる枝豆してと食しているときは18: 2の占める割合が少ない。
4) 種子脂質中の全Toc (α-, β-, γ-およびδ-Tocの合算したもの) 量は, 25日目で1,218μg/g脂質で, それが成熟に伴い漸次増加し, 75日目で1,682μg/g脂質になった。 各Tocでは25日目以後, α-, β-およびδ-Tocの割合が著増した。 一方, γ-Toc量比は, 成熟全期を通じほぼ一定であった。
大豆の成熟度と種子脂質中のα-Toc (mg) /ポリエン酸 (g) 量比は, 種子の成熟に伴い比は大きくなり, 最大は50日目の0.34で, 75日目では比は0.19になった。 α-Toc (mg) /ポリエン酸 (g) の比が大きいほど脂質栄養面でよいとすれば, 45~50日目のいわゆる枝豆として食している大豆中の脂質が最もよいことになる。
5) 25日目の未熟種子脂質中のステロール量は677.0mg/100g脂質であったが, 種子の成熟に伴いその割合は減少し, 75日目の完熟種子脂質で321.0mg/100g脂質であった。
種子脂質中のステロール組成の変化は, 種子の成熟に伴いカンペおよびスチグマステロールの割合が増加し, 逆にβ-シトステロールは25日目で66.1%であったものが, 75日目で46.2%にまで減少した。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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