栄養と食糧
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フイチン酸に關する榮養學的研究
第II報高度にフィチン酸を含有せる2, 3食品に就いての燐及びカルシウム代謝の比較
土屋 重義
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1953 年 6 巻 4 号 p. 174-182

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抄録

フイチン酸を高度に含有する食品て, 然もフイターゼ及びCa含有量の異る穀類と豆類との間で, フイチン燐の排泄p及びCaの吸収一般榮養素の吸收等に就いて差があるかどうかを比較する目的で, 五分搗米及び糠よりなる穀類食と, うずら豆及び豆腐よりなる豆類食と, 精白米よりなる普通食とに就いて, 4名の健康成人男子を用いて比較吸収實驗を行つた。その結果, 次の成績を, 得た。
1) フイチン燐の糞便中への排泄率には, 穀類食と豆類食及び普通食との間に殆んど差がなかつた。從つて攝取食品中に含有されているフイターゼの作用は, 殆んどなかつたものと考えられる。
2) 總pの吸収率は, フイチン酸を高度に含有せる穀類食及び豆類食は普通食より低かつた。又穀類食と豆類食との間では大差がなかつた。
3) Caの吸収率は普通食が最もよく, 次いで豆類食が良かつた。又, 穀類食のCa吸収率は甚だ低かつた。
4) 穀類食にCaCOを添加した場合, p吸収率は低下したが, Ca吸収率は上昇した。
5) 一般榮養素の吸収率は, 普通食が穀類食及び豆類食より良く, 又穀類食と豆類食とては, 含水炭素を除いては稍々豆類食の方が良かつた。
本研究に際し, 終始御懇篤なる御指導並に御校閲を賜りました石崎有信教授に深謝すると共に, 又, 御援助を戴いた三根助教授始め教室員諸氏に感謝する。
尚, 本研究は石崎教授の文部省科學試驗研究費に依るものである。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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