栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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茶葉成育中に於けるビタミンB1・B2・Cの含量及製茶中におけるその變化に就て
下田 美智子太田 義十
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1953 年 6 巻 4 号 p. 183-186

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抄録

茶葉成育中におけるV. B1・B2・Cの含量及び製茶中における變化に就て實験した。
1) V. B1は1・2番茶時期共に初期の芽葉に多く乾物100g中550~650γを示し, 茶葉の成熟硬化するに伴い減少し最低400γを示した。9月以降の秋芽は1・2番期の芽葉に比べて生葉中の含量は少く最高500γを示し, 越多葉は更に減少 (300γ) を示した。
2) V. B2は四季を通じ茶芽の伸長に伴う含量の變化は極めて少く乾物100g中1700~1800γを示した。
3) VC (還元型) は1番茶の初期に多く乾物100g中600~700mgを示し, 2番茶期の末期に向つて漸減し400mgを示す, 3番茶以後秋冬期においては初期に一時減少するが茶葉の硬化に伴い増加し12月より1月頃最も多く700mg以上を示す。且つこの冬茶葉中のV. Cは安定てある。
4) 製茶工程中における各ビタミンの變化を乾燥後の製茶についてみるに原葉に對しV. B165%, V. B270%, V. C60%程度の含量を示す。併して各種ビタミンの製造中における減少の主なる原因は粗揉工程中に起る。
本試験に當つて御指導を賜つた山本亮, 櫻井芳人兩博士に深く感謝する。又B2の定量に常り助言を賜つた科研和田津る氏並に製造に協力された當場製浩部各位に深謝する。

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