脂肪攝取量がCa吸收に及ぼす影響に就て

第II報動物性脂肪

抄録

健康成人男子について動物性脂肪 (豚脂) を用いて脂肪のCa及び燐の吸収に及ぼす影響について観察し併せて脂肪の吸収率をも観察した。
1) Ca摂取量が875.2mg, 843.8mgの時摂取脂肪量は夫々12.5g及び88.7gでありこの場合両者の間には関係を認めず, 即ち動物性脂肪も植物性脂肪と同様, Caの利用に影響を与えない事を知つた。
2) 摂取燐量が1056.3mg, 963.5mgの時夫々, 12.5g及び88.7gの脂肪を摂取した。その際両期間に於ける燐の利用の間に何等差異を認めなかつた。従つて植物性脂肪の場合と同様動物性脂肪も燐の吸収に関与しないと云い得る。
3) 脂質の尿中排泄量は前報同様1日量約3g内外であつた。
4) 植物性脂肪の場合と同様, 摂取脂肪量の多い時が少い時より高い吸収率を示している。
5) 動物性脂肪 (豚脂) と植物性脂肪 (大豆油) の吸収率の間には大差はない様である。
本研究は石崎有信教授の文部省科学試験研究費によるものである。尚, 本研究に際し, 御懇篤なる御指導並に御校閲を賜つた石崎有信教授に深謝すると共に, 御協力を戴いた教室員諸氏に感謝する。