1956 年 8 巻 6 号 p. 244-249
1. Co-60による医療用のγ線照射器を使用し, 貯穀害虫 “こくぬすともどぎ” に対する殺虫効果について実験した。成虫, 蛹, 幼虫, 卵により殺虫線量にはかなりの差があるが, 10, 000rep.照射によりいずれも100%殺虫された。
2. 小麦粉の発芽に及ぼす影響を観察した結果, 26, 500rep.の照射により初期の発芽 (発芽率) には差はないが, その後の生育には著しいおくれが認められた。
3. ビダミン強化小麦粉中のB1は20, 000~25, 000rep.の照射により極めて僅かながら損失した。
終りに臨みγ線照射器の使用の便宜を賜つた癌研究所々長中原和郎博士並に照射その他の技術的問題に種々御教示と御助力を賜つた同研究所の尾内能夫氏に深甚なる謝意を表す。