栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
マグネシウム代謝に関する研究
第2編 幼児の平常のMg代謝について
神谷 保男
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1956 年 9 巻 3 号 p. 112-118

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抄録

日本食に於けるMg代謝の状況を知ろうとして, 第1編 (成人) に引続き4~6歳の幼児について9日間に亘り実験した。
1) 普通日本食の献立としで考えられるものの中, Mgの比較的多いものと少いものを選んで, 主食は被験者の自由摂取に任せたところ, Mgの摂取量は1日152~300mgの範囲, 体重kg当り8.0~16.6mgの範囲であつた。
2) 摂取食中のCa: Mgの比は, 基本食期1.5: 1.0, 低Mg期3.0: 1.0, 高Mg期1.7: 1.0であつた。
3) 糞便中排泄量45~210mg, 尿中排泄量46~71mg, 吸収量54~107mg, 吸収率24~70%の間にあつた。
4) 蓄積量は (-) 0.3mg/kgの一例以外は全部 (+) であり, 個々の値では摂取量の高低と蓄積量の高低とは相伴わなかつた。
5) 所要量は10mg/kg程度と推定された。
6) 体重当りの蓄積量は, 年齢の小なる程大なる値を示すようであつた。
7) 摂取Mgが増加されると, 尿中及び糞便中Mg排泄量が増加した。
8) CaをMgより多く摂取した場合, 尿中ではCaが多いこともありMgが多い場合もあつた。第1編とは異なる点である。
9) 尿中Mg排泄量の糞便中Mg排泄量に対する比率は1: 1.6から1: 2.3の間にあつた。
10) Mg, Ca, Pの相互関係については, Mgの摂取が多量な時にはPの排泄を増し, Caの排泄も増すようである。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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