栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
下位脂肪酸のペーパークロマトグラフィに就いて
北川 正保
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1956 年 9 巻 4 号 p. 202-204

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抄録

脂肪酸のペーパークロマトグラフイに際しては, そのイオン解離とか酸自身の重合等の為スポツトが不明確になつたり, 尾を引いたりするが, 之を防ぐ為に一般に展開剤に酸又は塩基を加えたり, 或は脂肪酸誘導による方法がとられている。前二者は遊離酸検出には一般にpH指示薬が用いられるが, 第三の法で脂肪酸をハイドロオキザム酸誘導体を用いると過クロール鉄で鋭敏に発色するのでpH指示薬によるよりも検出がより容易で鮮明且つ鋭敏である。
展開剤に関してはヂオキサンー水ではRf値が大で分離能が低いので, ヂオキサンと自由に混じ, 且つ夫自身では殆んど移動を示さない様な溶媒デカリン, テトラリン, キシロールを選びこれらの混合溶媒について検した結果, カプリン酸乃至ラウリン酸までの分離が可能であつた。この中で特にヂオキサンーデカリンは分離能に於ても, スポツトの鮮明度に於ても, 最もすぐれていた。
ミリスチン酸以上では本法では分離が出来ないので, 一般に行われている様に逆相法による他はない。
又スポツトの鮮明度と各々の分離能は濾紙を酸で前処理することにょり, 著しく改善せられた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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