栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
果実中の遊離のアミノ酸の含有量に関する研究
松下 アヤコ山田 晃
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1956 年 9 巻 4 号 p. 210-214

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抄録

1. 春から初夏にかけて出まわる10種類の果実についてその含有する遊離のアミノ酸を, イオン交換樹脂及びpaper chromatographyによつて分離検出した。これらの果実中に共通して存在するアミノ酸はAspartic acid, Glutamic acid, Serine, Asparagine, Threonine, Alanine, Histidine, Valine, Leucineの9種類であるが, りんごの場合にはThreonine, Asparagineは見出されなかつた。りんごは新鮮品ではなかつた。Proline水蜜桃, 未熟の桃, すもも, 夏みかん, 梅の各々に見出され, β-Alanineは水蜜桃, 未熟の桃, すもも, 金瓜, 苺の各々に又Tyrosineは水蜜桃と金瓜にGlycinは夏蜜柑と金瓜に見出された。
2. アミノ酸の量的差異を求めるために上記アミノ酸のクロマトグラムについて呈色班点抽出比色法により定量を行つた。梅, あんず, すもも, 水蜜桃, 未熟の桃, 夏みかん, 苺の各々に共通して著しく多いアミノ酸はAsparagineである。又Aspartic acidもこれに次いで多い成分である。又共通して少い成分はThreonineである。又金瓜にはHistidineが著しく多くAlanine, Valine, Aspartic acid, もこれについで多い成分である。アミノ態窒素の含有量は全体的に少いが, 特にびわとりんごに少なかつた。本実験のPhotoelectric Spectro photometer使用にあたり御懇篤な御指導を賜つた熊本逓信病院検査室主任竹屋博士に厚く御礼を申し上げる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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