日本栄養・食糧学会誌
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保育園児の食物摂取行動の直接観察
妹尾 寛子鈴木 継美
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1983 年 36 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

幼児の食物摂取行動に与える各種条件の影響を研究するために食事行動の観察・記録方法について検討した。都内私立K保育園の3歳児クラス (平均年齢3歳3か月) 12名を対象とした。2週間の準備期間を設けた後, 1人を15秒に1回観察する方法 (A) と被観察者12人を5秒おきに観察し1人については1分に1回観察する方法 (B) の二つの方法を用いて昼食時の食物摂取行動を観察した。結果は以下のごとくまとめられる。
1) 方法 (A) を12人について行ない, これから210種類の動作が得られた。得られた動作から36のサブカテゴリーを作り, さらに五つのカテゴリーに分類した。
2) 方法 (A) の記録を各人について1分ごとと15秒ごとの観察として比較すると, どの被観察者についても1分ごとと15秒ごとの記録結果から得られたカテゴリー別出現頻度に著しい差はなかった。
3) (B) の観察20回の結果と (A) の12人全員についての結果を比較したところカテゴリー別出現頻度割合はよく一致していた。
4) (B) の観察を20回行なった結果とそのなかから抽出した10回についての結果とを比較すると, 各個人についてのカテゴリー別出現頻度割合の一致度は低かった。しかし, 各人のカテゴリー別出現頻度割合の大小の12人における相対的な順位はよく一致した。
5) (B) の10回の記録を20回のときと同様に (A) の記録と比べると (A) との一致度は20回のほうが高かった。
以上より, 36のサブカテゴリーを用いて各人1分の観察でその日の食事行動の内容は把握できるが, 日々の食事行動の変動を考慮するとある期間継続して観察することが, 個々の特性をとらえるうえでは必要であると結論される。

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