日本栄養・食糧学会誌
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魚介類および藻類中のトコフェロール含量ならびに同族体組織について
兼松 弘牛草 寿昭丸山 武紀新谷 勳松本 太郎
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1983 年 36 巻 4 号 p. 239-245

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抄録

魚類40種 (海産魚28, 淡水魚12), 貝類18種, 頭足類5種, 甲殻類8種およびその他海産動物3種ならびに海藻について, 可食部に含まれるTocを高速液体クロマトグラフィーで分析, 検討した。
1) 魚類では, 組織中総Toc含量は一般に淡水魚 (x: 1.22mg/100g) のほうが海産魚 (x: 0.66mg/100g) と比較して高水準であり, また10%以上の高脂肪含量のもの (x: 1.74mg/100g) は比較的高い値を示した。脂肪中含量では, 102.17~4.33 (x: 海産魚23.18, 淡水魚28.91) mg/100gと全般にさきの陸産動物体脂肪より高い値を示した。同族体組成では, ほとんどの魚種から非α-Tocを検出し, なかでも淡水魚4種, 海産魚2種からこれらを約10~30%検出した。
2) 貝類および頭足類では, 組織中総Toc含量は頭足類 (x: 0.84mg/100g), 貝類 (x: 0.64mg/100g) とも海産魚とあまり大きな差はみられなかった。しかし脂肪中含量では貝類 (x: 62.35mg/100g), 頭足類 (x: 64.26mg/100g) とも魚類より高水準を示した。同族体組成ではほとんどの種類から非α-Tocを検出し, なかでも貝類の4種から10%以上のこれらを検出したが, 頭足類からβ-およびδ-Tocは検出しなかった。
3) うには卵巣も含むため組織中総Toc含量がもっとも高い値を示し, また甲殻類の組織中および脂肪中総Toc含量は平均1.98および190.22mg/100gと魚, 貝および頭足類より高含量を示した。同族体組成では, いずれも非α-Tocを検出し, なかでもざりがにからこれらを約15%検出した。
4) 海藻の藻体中および脂肪中総Toc含量はそれぞれ平均0.23, 84.29mg/100gを示し, 藻体中含量は比較的低い水準を示したが, ひじきでは0.91, 455.00mg/100gとその他より著しく高い値を示した。同族体組成では, こんぶ以外から10~70%の非α-Tocを検出し, とくにもずくでは30%以上のα-, γ-およびδ-Tocを示した。なおどの海藻からもβ-Tocは検出しなかった。

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