日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
基礎代謝および寒冷暴露時における身体組成別産熱量の季節変動
田原 靖昭
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 36 巻 4 号 p. 255-263

詳細
抄録

全寮生活を営む18~19歳の男子20名について, 1980年の冬 (2月) と夏 (7月) の2回身体組織別 (EBM, FTM) の産熱量を基礎代謝および寒冷暴露時に推算した。得られた結果の概要は次のとおりである。
1) 基礎代謝値は冬1,605.7±175.2kcal/day>夏1,456.1±101.6kcal/dayと冬季に高く, 季節変動は10.3%を示した。
2) 寒冷暴露時の産熱量は冬1,664.0±157.0kcal/day<夏1,715.1±142.9と冬低く, 夏高い季節変動 (4.2%) を示した。
3) 基礎代謝から寒冷暴露による産熱量 (kcal/day) の増加率は冬季で3.6%, 夏季で17.8%で夏季に大であった。
4) 身体組成別産熱量の推定は回帰分析法と連立方程式法で似かよった値が得られ, 除脂肪組織では回帰分析法による値で基礎代謝の冬季で26.59kcal/kg/day, 夏季に23.80kcal/kg/dayで冬季に高かった。寒冷暴露時では, 冬<夏の傾向を示した. また基礎代謝から寒冷暴露時への増加率は冬季よりも夏季に大であった。
脂肪組織重量当たりの産熱量は, 基礎代謝で冬季32.00kcal, 夏季37.16で夏季に高く, 寒冷暴露時では冬季28.24, 夏季35.84で夏季に高かった。
5) 実測総産熱量に占める全脂肪組織産熱量の割合は基礎代謝の冬季で12.14%, 夏季で14.76%であり, 寒冷暴露時の冬季で10.56%, 夏季で12.20%で冬, 夏とも基礎代謝時よりも低かった。
6) 個人の除脂肪組織重量当たり産熱量 (a), 除脂肪組織重量当たり産熱量 (b) は, その身体組成 (EBMおよびFTM) の重量が大なるほど小さくなる傾向を示した。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top