日本栄養・食糧学会誌
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脂質の酸化に伴うタンパク質中のメチオニンおよびリジンの損傷
小林 邦彦村田 昌一松冨 直利加藤 昭夫
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1983 年 36 巻 5 号 p. 379-382

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抄録

リノール酸エチルと卵アルブミン (Difco製) を1 : 2の割合で混合したものを30℃, RH80%で保存し反応させた。酸化された卵アルブミンのメチオニン残基およびリジン残基を測定するとともに, 褐変度 (ハンター白度) を測定して比較検討した。
リノール酸エチルの酸化状況はPVでは3~4日ごろから急激に上昇し, 7日ごろで最高に達した。これに対してCVではわずかに遅れ5~6日ごろから上昇し8~9日で最高に達した。リジン残基 (FDNB反応性リジン) は7日ごろから減少し始め除々に損傷を受け, それとともに褐変も進行した。一方メチオニン残基はNeumann法 (モノヨード酢酸処理ー過ギ酸酸化法) およびプロムシアン処理ガスクロマトグラフィ法いずれを用いて測定しても5日ごろから急激に減少し, 12日で約70%損傷を受けた。このように油脂と共存するタンパク質の酸化では褐変やリジンの損傷に先立ってメチオニンが酸化損傷されることが明らかにされた。
なおタンパク質中のメチオニン残基の定量には従来のNeumann法よりはブロムシアン・ガスクロマトグラフィー法が操作が簡単で, 速く, 優れていることが認められた。

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