日本栄養・食糧学会誌
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調理による調味料ナトリウムの歩留りについて
伊藤 和枝小野 チエ子村井 都熊川 キミエ
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1984 年 37 巻 3 号 p. 251-266

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抄録

ナトリウム摂取量の大半を占めるのは調味料中のナトリウムであるが, その調味料は調理形態によっては使用したすべてが摂取されるのではなく, 調理または喫食時にかなりのロスが考えられる。そこで食事調査におけるナトリウム摂取量をより正確に把握するため, 素材別, 調理法別, 調味割合別に, 調理による調味料ナトリウムの変動から, 調理後可食部への歩留りを残存係数として算出した。
残存係数のおもなものは, 次のとおりであった。
1) 魚しょうゆ煮の煮汁の残った状態では, 切身骨付0.55, 切身骨なし0.65であった。
2) 魚塩焼の青魚切身骨付0.60, 切身骨なし0.75, 姿0.25, 白身魚姿0.40であった。
3) おでん0.50, すき焼き0.85であった。
4) 和風酢の物0.58, 洋風ドレッシシグサラダ0.55, ほうれん草ごま和え0.85であった。
本実験の成績は, 食事調査におけるナトリウム摂取量把握の精度を高めるため, 調理に使用した調味料重量に残存係数を乗じた数値を純摂取量として用いることとした。また調理形態別, 調味割合別, 素材別に異なる調味料ナトリウムの歩留りは栄養指導の実践的な資料として広く活用しうるものと考えられる。

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