日本栄養・食糧学会誌
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非熱凝固性卵白の栄養成分の検討
西川 善之
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1985 年 38 巻 5 号 p. 377-382

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抄録

著者らは既報のごとく, 生卵白を水で希釈し, 生じた凝集物をろ過除去後, オートクレーブ加熱を行なうことにより, 非熱凝固性卵白が調製できることを見いだしたが, 今回本卵白が食品素材として有効であるか否かについて栄養価の面から検討した。
1) 非熱凝固性卵白液, 卵白粉末の一般食品分析を行なった結果, 生卵白と同じく粗タンパク質を10%含有し, その95%がタンパク質であった。また本タンパク質のアミノ酸組成も生卵白と比べて大差がなかった。したがって本卵白は, 処理行程中に栄養的な価値の低下が起こらなかったものと考えられる。
2) ラットを用いて動物成長実験を行なったところ, 本非熱凝固性卵白液はカゼイン以上に良好な成長を示した。
3) E. ashbyii, A. oryzae, およびS. cerevisiaeを用いた微生物生育実験を行なったところ, 本卵白の粉末標品では十分な生育を示さなかったが, 卵白液はタンパク質源 (窒素源) としてたいへん有好であった。
4) 以上の実験の結果, 本非熱凝固性卵白は, 栄養的にも食品素材として十分利用できるものと考えられる。

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