日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
高速液体クロマトグラフィーによる乳, 粉乳および植物油脂中のビタミンKの定量法
佐藤 孝義八尋 政利下田 幸三浅居 良輝浜本 典男
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 38 巻 6 号 p. 451-458

詳細
抄録

HPLCによる乳, 粉乳, および植物油脂中のK1, K2の定量法を検討し, 以下の結果を得た。
1) HPLCのカラムは, 市販7種類のODSカラムを比較し, K1, K2の分離能が最も優れていたYMC-PACK A-314を選択した。移動相は, エタノール-水 (99: 1) が適当であった。
2) 調粉以外め試料では, HPLCの前処理として, ヘキサンーエチルエーテル (1: 1) で抽出したのちに, シリカゲルカラムにKを吸着し, ヘキサンーエチルエーテル (97: 3) で溶出することによって, 油脂とKを分離できたが, この際の油脂負荷量についても検討した。この結果, 1回の吸着-溶脱で, クリーンアップ操作を完結できた。
3) しかし調粉では, リパーゼ処理によって油脂を分解したのちに, ヘキサンで抽出する操作が必要であった。
4) ポストラペルに用いた水素化ホウ素ナトリウムは, 試薬調製後の時間経過とともにKの測定値が低下するので, 長時間の連続測定を行なう場合には, 誤差補正が必要であった。
5) 生牛乳のシリカゲル処理, 調粉のリパーゼ処理によって繰返し測定, 添加回収試験を行ない, いずれも満足すべき結果が得られた。
定量限界は, 液状乳で0.2μg/l, 全粉乳で1μg/kg, 植物油脂類で2μg/kg, 調粉で2.5μg/kgであった。
6) 乳, 粉乳および植物油脂のK1, K2は支障なく測定が可能であった。
生牛乳, 殺菌乳ならびに全粉乳ではK1よりもK2がかなり多く, 人乳ではK2よりもK1のほうがやや多い結果を得た。植物油脂からはいずれもK2は検出されなかった。K1は, ヤシ油では検出されず大豆油に著しく多く含まれていた。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top